唐津くんちの5番曳山、魚屋町の「鯛」が来年1月、香港で開かれる「チャイニーズ・ニューイヤー・ナイトパレード」に参加要請を受けている。香港政府観光局が「色合いがめでたい」とラブコール。市は6月定例議会に遠征費などを計上する予定で、唐津曳山取締会が了承すれば、1995年に米国ホノルルへ渡った本町の「金獅子」以来、17年ぶり5回目の海外遠征となる。
パレードは旧正月の23日と24日、香港の繁華街で開催。世界各国から50団体が参加し、20万人の人出が見込まれている。鯛曳山は23日夜、約2キロを曳(ひ)き子や囃子(はやし)とともに練り歩き、24日は会場のブースで唐津の観光グッズや物産品のPRを予定する。
市は曳山の輸送費や曳き子ら100〜150人の遠征費として、2100万円を定例議会に計上。唐津曳山取締会と協議を進め、参加を目指す。坂井俊之市長は「『アジアに一番近い場所』として、唐津をアピールできれば」と期待する。
佐賀新聞 2011年12月25日来年1月、香港で旧正月を祝うパレードに参加する唐津くんちの5番曳山(やま)「鯛」が25日、解体された。丁寧に荷造りされ、年明けに船便で現地に送られる予定。16年ぶりの曳山の“海外遠征”に向け、関係者の意気込みも盛り上がりつつある。
同日朝、保管先の唐津市曳山展示場から出された高さ約7メートルの鯛曳山は、地元魚屋町の曳き子らによって、台車や目、胸びれ、尾びれが順に取り外された。繊細な漆塗りの本体を傷つけないよう慎重な作業が続いた。
同町香港出動実行委員長の山口雄三さん(62)は「世界中に唐津をアピールするチャンス。唐津に来てもらえれば他の素晴らしい13台も見られると伝えたい」と意気込む。作業終了後、同市民会館でパレードに参加する曳山関係者の結団式もあった。
パレードは1月23、24の両日、香港の繁華街を舞台に行われ、世界各国から50団体が参加する。鯛曳山は23日夜、約2キロを練り歩き、24日は会場ブースで唐津観光をPRする。市内からは曳き子約150人のほか、ツアー参加の市民ら総勢約200人が駆け付ける予定。
西日本新聞
ヒレや目玉が取り外され、クレーンでつり上げられる唐津くんちの5番曳山「鯛」
来年1月23日に中国・香港で開かれる「インターナショナル・チャイニーズ・ニューイヤー・ナイトパレード」に参加する唐津市の唐津神社の秋祭り・唐津くんちの5番曳山(やま)「鯛(たい)」が25日、搬出に向けて解体された。
唐津市によると、パレードは旧正月を祝う祭りで、来年が17回目。世界約15カ国50団体がパレードに加わり、約20万人の見物客が沿道を埋めるという。曳山(ひきやま)の海外遠征は、1996年の米国・ハワイ以来16年ぶり。
この日は朝から、同市魚屋町の関係者ら約60人が曳山展示場(同市西城内)に集まり、本体と目玉、ヒレ、しっぽなど10の部分ごとに分解。木箱に丁寧に詰め込んで10トントラック2台で市内の運送会社に運んだ。来年1月8日に博多港(福岡市)から香港に向けて出発する予定。魚屋町香港出動実行委員会の山口雄三委員長(62)は「いよいよです。本番では鯛の魅力を存分にアピールしたい」と話した。
解体後は、香港遠征に参加する「鯛曳山香港訪問団」の結団式が市民会館(同市西城内)で開かれ、約150人が参加。団長に任命された坂井俊之市長は「香港で赤い鯛は幸福の象徴。佐賀の存在を世界にしらしめましょう」とあいさつした。
中国・香港で23日夜に開催される「インターナショナル・チャイニーズ・ニューイヤー・ナイトパレード」に出演する唐津くんち(唐津市)の関係者らでつくる「鯛曳山(たいやま)香港訪問団」(団長・坂井俊之唐津市長)が22日朝、同市を出発する。
香港政府観光局によると、パレードは旧正月を祝う祭りで、今年で17回目。世界10カ国計35団体が参加し、約20万人の見物客が会場を埋めるという。日本からは唐津くんちの5番曳山「鯛」(魚屋町)のみが出演する。
パレードは23日午後8時(日本時間同9時)にスタート。香港中心部の約2キロのコースを歩く。「鯛」の出番は30番目、午後9時ごろ(日本時間同10時ごろ)の予定。
訪問団はくんちの曳(ひ)き子や囃子方(はやしがた)ら約160人。このうち先発隊19人が21日に現地入りし、同日夜に「鯛」を組み立て。残りのメンバーは22日早朝に出発、同日夕に現地の会場でリハーサルを行い、本番に備える。唐津曳山取締会の牧川洋二総取締は「威勢良く曳いて普段のくんちを再現したい」。坂井市長は「日本から唯一の参加。存在感を示して、香港からの観光客増につなげたい」と意気込んでいる。
■香港遠征は世代交代の好機 魚屋町の山口さん語る
「それはもう、尋常じゃない人気だったんですよ。曳山(ひきやま)が世界に受け入れられた歴史的瞬間。全身に鳥肌が立ちました」。唐津くんち(唐津市)の5番曳山(やま)「鯛(たい)」を擁す魚屋町の正取締、山口雄三さん(62)は高揚気味に振り返る。
1979年2月、フランス・ニース。地中海に面する国際的観光都市で繰り広げられたカーニバルで、総勢約100人の曳(ひ)き子が「鯛」を曳いて街中をパレード。フィナーレで広場を1周しても観客からアンコールが鳴りやまず、3周した。それでも熱狂は収まらず、観客からはちまきや法被をせがまれたという。
山口さんは当時、同町の若者組織・鯛若会(たいわかかい)の一員だった。あれから約30年。中国・香港で23日夜にある「インターナショナル・チャイニーズ・ニューイヤー・ナイトパレード」に「鯛」が招かれる。山口さんは「魚屋町香港出動実行委員会」の委員長として準備に奔走してきた。
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唐津くんちの14台の曳山は一級の工芸品でもあり、長年門外不出とされてきた。ニースのカーニバル参加は初めての海外遠征だった。以来、国内外に遠征を繰り返してきた。海外遠征は16年ぶりとなる。
香港や県から出演依頼を受けた魚屋町は昨年6月、委員会を立ち上げた。山口さんは鯛若会の若者とともに月3、4回のペースで会合を開き、曳山の運搬方法や遠征費用などを細かく決めてきた。香港では曳山の組み立てや解体だけでなく、夜間警備も担当する。
「ニースの時も同じように、若者が遠征準備を進めた」と語る山口さんは、今回の香港遠征を曳山組織の「世代交代の機会」と捉える。「ニース遠征を経験し、自分も含め若者に“曳山や町を動かす”という責任感が芽生えた。鯛若会の多くは30代。これからの曳山と町を支える若者に、同じ経験をさせたいんです」
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昨年末の会合。町公民館に集まった鯛若会のメンバーは、パレードの演出法で激しく意見をぶつけ合った。「鯛を元気よく見せるにはどうしたら良いか」「14台の曳山の代表。香港で恥はかけない」
山口さんは若者たちにニース遠征時の自分を重ね、目を細めた。「僕らも真剣に議論を重ね、全力で曳山を曳いた。その熱意があったからこそ、フランスで受け入れられたのだと思う。こうやって歴史は繰り返されるんですね」
山口さんと鯛若会のメンバーら19人は先発隊として21日、香港に発った。「やれることはすべて精いっぱいやった。本番では唐津の、そして佐賀の代表として、鯛曳山を元気よく泳がせます」
西日本新聞
2012年1月23日
【香港・岩谷瞬】中国・香港で23日夜に開かれる「インターナショナル・チャイニーズ・ニューイヤー・ナイトパレード」に出演する唐津市の唐津くんちの関係者らでつくる「鯛曳山(たいやま)香港訪問団」が22日、現地入り。早速、本番に向けてリハーサルした。
曳(ひ)き子約160人はパレードスタート地点の香港カルチャーセンター前の広場で本番の立ち位置などを確認。実際に囃子(はやし)を響かせ、「エンヤ」の掛け声を上げながら、5番曳山「鯛」(魚屋町)を30メートルほど曳いた。
同町の山口雄三正取締(62)は「いよいよ本番。明日は佐賀代表の名に恥じぬよう、元気に鯛を曳きたい」と意気込みを語った。
パレードは23日午後8時(日本時間同9時)から香港の中心街を舞台に行われる。
【香港・岩谷瞬】中国・香港の旧正月を祝う「インターナショナル・チャイニーズ・ニューイヤー・ナイトパレード」が23日夜、九龍半島の尖沙咀(チムサアチョイ)地区であり、佐賀県唐津市の国重要無形民俗文化財「唐津くんち」の5番曳山(やま)「鯛(たい)」が日本国内から唯一参加した。曳山(ひきやま)が海外で披露されるのは1996年の米国ハワイ以来16年ぶり。
香港政府の出演依頼に応じた。同地区は高層ビルが林立する香港最大の繁華街。重さ約1・6トンの「鯛」は、法被姿の曳(ひ)き子約160人の「エンヤ、エンヤ」の掛け声とともに登場。頭やひれを動かしながら約2キロを練り歩き、大歓声を浴びた。
朝日新聞 2012年1月24日
香港で「エンヤ、エンヤ」 パレードに唐津くんちの曳山
香港の夜空に「エンヤ、エンヤ」のかけ声が響いた。国の重要無形民俗文化財、佐賀県唐津市の唐津くんちの曳山(ひきやま)が23日夜、旧正月を祝う香港のチャイニーズ・ニューイヤー・ナイトパレードにお目見えした。過去に米仏などへ遠征したが、アジアは初めて。
曳山囃子(はやし)の音色も響かせ、唐津っ子の約150人で5番曳山「鯛(たい)」を曳いた。目玉やヒレ、あごを上下左右に動かすパフォーマンスを織り交ぜ、中心街の目抜き通りを駆け、観光客約10万人を引き付けた。
江戸時代からの伝統を持つ鯛山の朱塗りの体は「幸運」、金箔(きんぱく)の鱗(うろこ)は「富」を表す。大きな目玉など愛嬌(あいきょう)のある姿は海外でも人気で、香港政府観光局の3年越しの要請で実現。唐津市の曳山展示場から6分割して船で運んだ。パレードは今年で17回目で、タイ、イタリア、米国など世界12カ国・地域から35団体が参加した。(香港=田中良和)
読売新聞2012年1月24日
鯛は全体が赤色で、うろこなどの線が金色。香港では赤色が幸運、金色が富と幸福のシンボルとされ、「縁起が良い」として旧正月を祝うパレードへの参加を要請されたという。
唐津市の坂井俊之市長は26日の記者会見で、新年度に「国際戦略室」(仮称)を設置すると発表した。アジア市場の拡大傾向を踏まえ、これまで親睦が中心だった韓国・麗水市などの友好・姉妹都市について、産業や観光を含めた総合的な関係への転換を図る方針。
2月に、商工観光部など産業関連4部の部課長級で構成する国際戦略検討会議をつくり、室設置へ向け、調査、分析に乗り出す。坂井市長は「国際戦略に力を入れる県とも連携し、外資系企業の誘致や唐津くんちや唐津焼など文化発信にも取り組みたい」と述べた。
また、坂井市長は25日に終えた唐津くんち鯛曳山(たいやま)香港訪問を振り返り、「県、唐津市のPRが大いにできた」と成果を報告。現地で解体、梱包(こんぽう)された5番曳山「鯛」は2月11日に唐津に戻ってくるという。