唐津神社社報より唐津神祭に関わる記事を抜粋してネット化致します。
唐津神社社報   第82号  平成13年4月1日発行
発行人 戸川 省吾
編集人 戸川 惟継
印刷所 (有)サゝキ高綱堂
 この二葉の写真は、昭和二十年の材木町曳山「亀と浦島太郎」の塗替完成式の時のものです。当時、「曳山」を「山笠」と呼んでいましたので、正面の看板も祝山笠落成の文字が見えます。曳子の法被も現在のように各町ごとの独創的なものではなく、どの町内も俗に言うタンゼン布地″でした。
 材木町曳山は現在塗替工事中です。国・県・市の助成をいただき乍ら、文化財建造物保存技術協会という財団の指導監督のもと、なるべく建造当時の姿・形を大事にして、建造当時の技法をもとり入れながら、しかも、永代にわたる保存を第一にして慎重に工事が進められています。背中の浦島太郎さんも初代様のままで、今回の塗り替えにはお色直しとのことです。
 尚、曳山の後方に木組の大きな建造物が見えますが、これはサーカス団の掛小屋です。昭和三十年頃、唐津くんちには必ずサーカス団の興行があっていました。矢野・キング・キグレ・木下等の大サーカス団が大きな掛小屋をかけて興行していました。当時、牛・馬は一般的でしたが、象やライオン・トラ・熊・オットセイ・チンパンジー等々の動物は、このサーカスで知りました。オートバイの曲乗り・空中プランコ・音楽隊の演奏…古き良きくんちの想い出ですが、心うきうきは今も変わりません。

 
総代異動
本 町 竹本 逸三 退任
 〃  中川 邦彦 就任
京 町 重松 徳  退任
 〃  古谷 武  就任
東城内 中村 岩雄 退任
 〃  小嶋 昌子 就任
大名小路
    松岡伊三治 退任
 〃  麻生 博之 就任

正 月 か ら       宮司 戸川惟継
 昨年から本年にかけては、新年を迎えるという例年の年越し迎年行事は勿論のことですが、世紀という大きな節目がかわるということで、各地でさまざまな記念行事がありました。唐津市内では、駅周辺や商店街で年越しと迎年祝賀の催しがありましたし、西の浜海水浴場からは、新世紀開きの花火大会がありました。いずれも大変多くの方々で賑ったそうです。
 お陰様で、商店街や花火大会の賑いの勢いは、そのまま新年参拝へと向かわれたようで、元日早朝(午前零時〜)の社頭は、例年より多くの方々の参拝が続きました。境内は人・人・人の波で、近年にない正月風景でした。といいましても、午前二時頃には例年と変わらぬ静かな正月風景に戻りましたが、今年の正月は元日早朝の参拝から午前中にかけては、これまでとは違い若者中心の参拝が大変多くて、唐津くんちの勢いを感じました。元日の昼頃から三ケ日にかけては、例年のように家族連れ中心のおだやかな正月風景が続きました。
 四日、五日、六日を中心として、各企業・団体の新年祈願が多くありました。各企業・団体の繁栄と安全はもちろんのこと、世の中の平穏、景気の浮揚等々祈りの日々が続きました。出初め式には、社頭にも消防団員の参拝が見られました。御祭神(相殿)の水波能女神は、唐津城下の防火防災の神として祀られていますので、御神徳の御加護大ならんことを祈っています。 六日は、新年祭でした。新年祭は元来、歳旦祭ですので元日に斎行する祭典ですが、元旦の祭典は神職だけで奉仕し、氏子総代の方々は六日に御参列をいただいて、斎行しています。 さて七日は、迫儺神事で各家庭の正月飾りが境内に少し納められましたので、浄火をもって御焚上をしました。その浄火の中に、お正月のお供え、正月の飾り餅、みかん等が、ゴミ収集袋に入れられて、ゴミ同様捨ててあるのが近年増えつつありました。そこで、昨年から「餅・みかん・ビニール袋類は、持ち帰って下さい」と呼びかけています。少しは改善されているように感じますが、中には渋々お持ち帰りになりながら、職員のスキをついて浄火に放り込んで行く悪賢い、不届者も多くて大変困っています。
 ところで、正月の餅のことですが、もともと正月の飾り餅・鏡餅などの餅は、年の祝いの縁起餅です。餅は、イネ(イノチノネ=生命の根幹)の最良の加工食品であり、このイノチノネが凝縮したものをいただいて、その年の新しい生命力を神の御加護とともにいただくというのが、正月行事の大事な納めになります。その大事な新しい年の生命力を、ゴミとして投げ捨ててしまわれるとは、眞に飽食の時代、ここに極まれりといった感がいたします。
 食は文化という言い方がありますが、食は民族の生命観の写し鏡としての文化という言い方をするのだと思います。伊勢神宮の大神様の御神徳を称えつつ、食前感謝・食後感謝の和歌があります。食物を感謝の念をこめて大事にしようというものです。
  ◎食前感謝の和歌
 たなつもの ももの木草も あまてらす 日の大神の 恵み得てこそ
 「食物はもちろんのこと、あらゆる木や草も生命があり、その誕生と成長は、天照皇大神(伊勢神宮の内宮の神)のおかげです。=いただきます。」
  ◎食後感謝の和歌
 朝宵に もの食ふごとに 豊受の 神めぐみを 思へ世の人
 「朝夕に、いつもこうして食事ができますのは、豊受大神(伊勢神宮の外宮の神)のおかげです。=ごちそうさまでした。」
 豊受大神(伊勢神宮の外宮の神)は、天照皇大神(伊勢神宮の内宮の神)に、毎日(毎朝、毎夕)神饌をつくって献じておられる。この祭典を、日毎朝(夕)の大御饌祭と言い、外宮の御饌殿で毎朝、毎夕奉仕されている。又、御饌調理のための火は(忌火)と言って、今でも木と木をこすりあわせて毎朝鑽り出されている。伊勢神宮の境内(参道途中に忌火屋橋と呼ばれる橋があり、これより先の神域では、すべて忌火を使用しなければならないことになっている。)
 このように「食」には、日常的にも神の恵みと、神への感謝があります。ましてや、年の始めの「イノチノネ」は祖先から子子孫孫につながる生命の継承の大事な儀式の中心であります。粗末にならぬよう大事にしてほしいと思います。
 八日は囃子初め式でした。曳山関係、来賓、囃子保存会等約百名の参加で、本年のくんちの安全と弥栄を祈念しました。
 十九日、二十日は廿日恵比須祭、二月三日は節分祭、十一日は建国記念祭、二十四日は旧初午祭と祭典が続き、境内は賑わいました。
 建国記念祭は、本年から奉祝会の組織が改まり、若干行届かぬ点もとの声も聞かれましたが、ほとんど零からの再出発でしたので、お許しいただきたいと存じます。
 こうして、いつもの正月風景に、若干の彩りをそえながら新年がおだやかに始りました。これから春の大祭へ向って諸事が始まります。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 行事予定
四月
  十八日
   佐賀県 神社関係者大会 (於・佐賀市)
 二十九日 春季例大祭
五月
 十一日〜十二日
  九州各県神社庁連合会 神職総会 (於・大分県)
六月
  初旬 伊勢神宮  協議員員会議
  中旬 総代研修会
七月
  一日 海開式
 二十九日 夏祭
      茅の輪神事
八月
 三十一日 海閉式
九月
  中旬 神社庁・総代会 合同研修会
 二十三日 秋季皇霊祭
◎毎月一日・十五日  月次祭

春季例大祭
4月29日(みどりの日・祝日)
午前11時30分執行

奉納神賑行事
浦安の舞・曳山社頭勢揃・池坊生花


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