唐津神社社報より唐津神祭に関わる記事を抜粋してネット化致します。
唐津神社社報   第68号  平成6年4月1日発行
発行人 戸川 省吾
編集人 戸川 惟継
印刷所 (有)サゝキ高綱堂
五穀豊穣・諸産業隆盛・家内安全・諸業平安 祈願
春まつり
(唐津神社春季例大祭)

5月5日(水) 午前11時30分 斎行
唐津曳山 社頭勢揃い
奉納 池坊 生花
総代異動
刀  町  山 岡  崨 延  退任
刀  町  冨 田 栄 磯  新任
刀  町  清 水   厚  新任
八百屋町  串 崎 嶺 二  帰幽
西 城 内  吉 岡 勝 行  帰幽
八百屋町  赤 木   弘  新任

社頭あれこれ

 
宮 司 戸 川 省 吾
 本年の正月も、例年のように午前零時の初太鼓と共に、威勢の良い喧噪の中にも神々しく明けました。参拝の列は、午前二時頃まで尽きることなく続き、それからは、家族連れや仲間同志といった方々の参拝が、三々五々続きました。軈て初日の出を迎えるわけですが、これより前、午前五時からは歳旦祭(さいたんさい)を斎行して、新しい年の弥栄を大前に祈念いたしました。
 正月のうちは、各企業・団体等の年頭祈願祭が続きました。そのため、参拝の便を図るべく臨時の参拝者待合所を設置しました。
 さて、正月の気分を残したまま、一月十九日~二十日は、廿日恵比須祭が賑々しく執り行われました。境内に移転新築後十年を経ました。これから新春の恒例行事として益々盛んになって欲しいと思います。二月
三日は節分祭。年男(今年は戌歳)を中心として、老若男女合計一四五名もの御奉仕をいただき、特に本年は昭和二十一年生れの二十名が大挙参列され、近年にない盛大な節分祭となりました。二月十一日は紀元節祭を斎行しました。今年の初午祭は、春彼岸と重なり三月二十一日でした。境内に三社ある稲荷社には、それぞれ参拝の方々がありました。これも初春の恒例行事として栄えて欲しいと思います。三月二十七日は天神祭を齋行しました。
 五月に入りますと、いよいよ春祭りです。以前は、旧・城まつりの開催日に唐津神社春季例大祭の祭日を合わせて齋行していましたので、大賑いの一日でしたが、春祭だけがこの日に取り残こされてしまい、段々淋しくなってきているように思います。人皆の心浮き立つ春、一年の繁栄を祈念する春、新しい出発がある春に相応しい春の大祭になればと思っています。

拝殿西口新設
 拝殿に西口を新設いたしました。これまでの西口の階段は急勾配で、しかも、雨天時には使用出来なくなる等、正月や節分の祭典等に種々難儀しておりました。そこで今般、正月の企業・団体参拝に間に合うように工事を進め、昨年末に竣工しました。
 これにより、これまで正面大前から参拝される方々に御迷惑をおかけすることなく、日常の祭典が執行できるようになりました。
 尚、この後は、現在境内で日常的に勤番しております授与所が、建築後二十年を経て、白蟻害がひどく又、雨漏りも数ケ所に及びますし、頭初考えておりました以上の使用状況等々もございまして、少々の手直しでは、どうにもならない程の傷み具合ですので、丁度来年の御鎮座一二四〇年祭の記念事業として、全面改築を計画しております。このため、参拝の方々には暫く種々御迷惑をおかけすることと存じますが、何卒御寛容くださいますよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
 完成のあかつきには、参拝の方々の一寸とした待合せ処等々、少しは便利になるものと思っています。

曳山短信

 ◎京都出動?…本年、京都は建都(平安京創立以来)千二百年の式年に当り、数々の記念事業が計画されている中で、全国曳山まつりに唐津曳山にも、参加の打診がありました。京都には全国一の祭礼と言われる祇園祭があり、その関連の祭りが中心とのことでした。唐津くんちは祇園祭ではありませんが、石崎嘉兵衛氏が京都祇園山鉾を見て、刀町赤獅子を創建したという御縁によるものだそうです。
 何回となく京都と協議されていましたが、保管その他未解決の問題も多く、出動は厳しい状況のようです。

 ◎囃子講習会
 唐津曳山囃子保存会では、今春、中級者までを対象にして曳山囃子講習会を開催しました。受講者は六名と小ぢんまりした講習会でしたが、囃子保存会の会員が一人に一人づつ指導に当り、思わぬ高水準の囃子講習会になったようです。
 今回は、曳山囃子の基本からということで、一般的な、せり囃子と立山囃子を教授し、道囃子は次回を期すことにしました。囃子技術の保存伝承は、こうした地道な努力が唯一の道かも知れません。
 因みに修了証授与者は、次の六名です。
 (全員笛課程)
 濱本 将生・岡本 陽介
 冨田 裕樹・吉田 敦俊
 古賀 裕介・坂本 貞治

 ◎改選
 唐津曳山囃子保存会の役員は、この程任期満了となり、会員互選の結果、会長には築山新一氏 (水主町)が新しく決まりました。

名誉宮司 戸川健太郎氏
 唐津神社名誉宮司戸川健太郎氏は、了て病気療養中の処、三月十日帰幽。行年八十三歳。
◎明治四十四年生、國學院大学卒業後、鎌倉鶴ケ岡八幡宮、呼子田島神社、佐賀県祭務官補を経て、昭和十四年唐津神社禰宜、同宮司として奉職、昭和五十四年名誉宮司。終戦直後の混乱の中から荒廃に頻していた神社の復興に尽力し、神社界発展の基礎を築いた。