唐津神社社報より唐津神祭に関わる記事を抜粋してネット化致します。
唐津神社社報   第43号  昭和57年4月1日発行
発行人 戸川 省吾
編集人 戸川 惟継
印刷所 (有)サゝキ高綱堂
春 祭

五穀豊壌   祈 願
諸 産 業 隆盛祈願

5月5日 午前11時30分斎行
献 幣 使 参 向
総代異動
新 町 桝元猪佐雄就任
魚屋町 鶴田 耕太退任
魚屋町 中里 敬一就任
大名小路 北島 辰助退任
大名小路 佐久間次彦就任
山下五 島本 林信就任
北城内 皆良田伝吉退任
 〃  森  勝栄就任
大名小路 岡上 正明就任
社殿清浄作業終る
四十余年間の汚れ落し


 当神社の社殿は、本殿、祝詞舎、幣殿、拝殿、神饌所から成り、去る昭和十三年に工を起し総改築を成し、翌昭和十四年四月落成奉告祭か行われたもので、総工費六万円を要し、台桧材を主体に銅板葺で結構の勝れた建物であります。
 以来四十余年になりますが、その間の、永い年月の汚穢が甚だしく、全体に黒染み見た目も醜くなり、何とか清浄の方法は無いものかと安じていたところ、氏子総代の平岡清一氏の御斡旋により、東洋美装会社という専門業社を紹介していたゞき、早速作業を行いました。作業は、昨年十二月四日より始めて二十五日に完了しました。
 手順は、洗剤の水溶液を噴霧器にて強力に吹き付けて、大方の汚れを洗い落し、その後同様の方法で木材漂白の薬液を二回に亘って吹きつけたもので、その後日時が経ち乾燥するに従って益々奇麗になり、全く見違えるような新社殿が蘇えりました。
 新年以来、参拝の方も「いつの間に新築したのか」といぶかり、吃驚りされる方も沢山あるほどで、その効果正に満点の出来栄であります。
 尚今回は経費の都合もあり、拝殿、神饌所のみで、本殿、幣殿は行っていません。他日を期しています。
 本工事経費の一部として氏子総代平岡清一氏より十万円の御奉納をいただきました。こゝに御披露いたし篤く御礼申上げます。

刀町ゑびす祭
 刀町では古くから町内各家年番順に座を設けて″ニ十日ゑびす″と称して家内安全、商売繁昌を祈願してお祭りを行っていたもので、先年より、大手口に神座を設けて、広く市内の皆さんにも参拝していただくようになったもので、一月十九日宵宮二十日と二日に亘ってお詣りがつゞいた。
 尚刀町では、新社殿を建立すべく準備中で、既に唐津神社境内に敷地は決定しており、近年中には実現の運びとなろう。

鳥居天満宮春祭
 境内社木綿町奉斎の鳥居天満宮の春祭は二月二十一日行われた。今年は御鎮座二百一年となり、この日は氏子町内挙って参列、朝から社頭で餅つきを行い、これをお供えして春祭を行った。
 この祭には町内の学童等も多数参列して学問の神さまの天満宮に頭を垂れて学業成就を祈願した。

寿社例祭
 四月十六日(旧三月二十三日)境内鎮座の寿社(ことぶきしゃ)の例祭が行われた。
 御祭神は、少彦名神、国安神で、往古、松浦の海辺に神亀顕現の瑞祥を寿いでこの霊を合祀し寿様と申上げ、古来、首より上頭、目耳、咽喉、鼻、歯、口等の病に霊験あらたかな神として篤い信仰がよせられている。
 この日は世話町の呉服町中町、木綿町から代表者が参列し、好み給える蜆貝をお供えしてお祭りを行った。
曳山囃子初めの儀”
一月九日


 年頭の事始めとして、一年間の曳山行中の無事盛行を祈願する囃子初めの儀″が去る一月九日斎行された。
 この日、午前十一時曳山各町の本部、正副取締や市長、商工会議所、観光協会等の関係来賓が参列して祈願祭を行い、終って曳山展示場中央広間に於て、囃子の名手宮田一男委員長ら十名が道囃子、せり囃子、立山囃子を次々に演奏し力強い太鼓の音が場内にひびきわたった。
 その後彰敬館に於て市長の祝辞があり、それからは神酒を汲みかわして曳山新年祭を祝った。

境内三稲荷社初午祭

 初午祭とは、稲荷の神が和銅四年二月初午の日に山城国紀伊郡三ッ峯に天降り鎮座されたもので、今日の京都の伏見大社である。
 この日が初午祭として今日まで各地で盛大に行われているものである。
 お稲荷さんは御祭神を宇迦御魂大神と申上げて、衣食住、商売繁昌、農漁業振興の神として霊験あらたかな神として篤い信仰がある。
 当神社の境内にも三町より奉賽の稲荷社があり、去る二月二十八日の祭日には生憎の雨にも拘らず終日沢山の参拝で賑わった。


白飛稲荷杜(呉服町奉斎)
 慶長の頃京都伏見より呉服町に飛来されたもので、一時平野町木浦山に鎮座されて千量院の奉斎を受けられたが明治三十七年唐津神社境内へ奉遷呉服町の守護神として祀られる。

白玉稲荷社(新町奉斎)
 その昔、佐志黒崎坊観隆院観達師が新町の守護神として勧請したもので、昭和五十五年唐津神社境内に社殿を新築して遷坐した。

火伏稲荷杜(本町奉斎)
 寛延三年本町々内安全のため勧請されたもので、この時蜆貝に乗って着き給うという。火除の霊験あり。

 境内便所新設

 近年参拝者の増加に伴い便所の必要利用度も増し、従来の簡易施設では不便なため、これに備えて、水洗式便所の建設を計画し、去る三月二日池田建設により起工して近く完工の予定。工費一二〇万円。完成すれば、参拝者の多い春秋の大祭時などの不便は解消されることになる。

 曳山北京市へ出動か
 昭和五十四年フランスへ出動、昨年はアメリカへ出動した曳山が、今度は、日中国交正常化十周年を記念して中国北京市で開催される「日中祭」に参加を内定した。
 この日中祭参加の要請は唐津市を通じて、曳山取締会にあったもので、この要請の中には、特に竜にちなむものということもあり、「七宝丸」の参加が有力視されている。
 出動時期は、八月二十五日前後ということだそうで、関係者による具体的な話し合いは、唐津市制施行五十周年記念式典(五月一日挙行予定)以降になる模様。

曳山囃子の講習会
 曳山囃子の講習会が、去る三月二十日より二十六日までの七日間、唐津神社拝殿及び、境内各神社を会場に開催された。この講習会は、曳山囃子のうち特に、道囃子(みちばやし)が、覚えにくい上に、その熟達者も非常に少ないところから、曳山取締会と神社が共催したもので、曳山各町内の、中学生以上を対象に、連夜熱の入った講習が行われた。
 この道囃子は、昭和四年高添藤五郎氏唯一人が伝承されていたものを、木下又蔵氏、市丸一氏等に伝授されて現存しているもので、今回の講習会には、昭和二十四年、木下、市丸両氏を講師として行われた講習会の時の、録音テープを基礎として、原曲を忠実に習熟することに主眼が置かれていた。
 尚、今回の講習で、習熟度優良者に修了証が交付された。

 ◎講習会講師紹介
 太鼓、鉦−宮田一男・田中冨三郎
 笛−野田邦次・掘c・福島資千・田中勝・藤川和徳・築山新一・松本千代蔵
の九氏でした。

 ◎講習会修了者
 太鼓、鉦課程−山岡和善・坂本秀人・前田健一
 笛課程−桑野誠二・稲葉健二・古味輪光男・吉野文隆・宮崎学・花田満・原田幹夫・宮田正英・久保喜嗣・石塚一成・坂井康則・正田俊輔・長野高士・浜田雄二・岩田義満・原田俊幸・浜辺明幸・三島正治・大野拓昭・野添正人
     (合計二十三名)