唐津神社社報より唐津神祭に関わる記事を抜粋してネット化致します。
唐津神社社報   第123号   令和3年10月1日発行
 
 発行所 唐津神社社務所
発行人 戸川 忠俊
編集人 戸川 健士
印刷所 (株)音成印刷
 
 曳山アルピノ移動
 九月十九日、今年から始まる曳山展示場の解体新築工事に伴い、十四台の曳山を仮の展示場となる「唐津
ふるさと会館アルピノ大ホール」への移動が行われました。今回の曳山移動につきましては、唐津曳山取締会を始め、唐津警察署様、唐津市役所様の御協力の下、地域の皆様には交通規制の御協力を賜り無事に終了できましたことに改めて感謝申し上げます。
 さて、今回の曳山のお引っ越しは計画されて以後、実に「三度目の正直」で実施する事ができました。
 当初の計画では五月初旬が実施予定で、計画としては、曳山展示場を出発した曳山は通常の曳山巡行路の約半分を特別巡行してアルピノに納めるというもので、これには初めて使用するアルピノ展示場付近の曳山と曳子の混雑状況や、曳山の待機場所、曳山を納めた後の曳子の導線等を確認する目的がありました。しかし道路使用申請を提出直前、新型コロナ感染症拡大の影響で中止となり、曳山の引っ越しは今後のコロナの状況次第という事となりました。その後、状況が一進一退する中で、解体工事の開始日も迫ってまいりました。そこで、九月五日に引っ越しを行う事が決定され、唐津警察署様や市役所様の御協力の下、道路使用申請や交通規制に関する書類を作成し、準備を整えて実行の日を待つだけとなっておりましたが、実行予定日が近づくにつれ全国的にコロナ感染者数が増加し、八月十七日には「唐津市緊急コロナ宣言」が発表され、さらに八月二十七日には旧唐津市に「まん延防止等重点措置」が適用された為、急遽九月五日案も中止され、結果「まん延防止等重点措置」が解除された後を見計らって九月十九日の実施となりました。
 本来ならば、曳山移動は囃子を奏で、大勢の曳子で賑々しく行う所ではございますが、今回はコロナの影響で囃子は行わず、事前告知をしないという方針で少人数の移動となりました。
 昭和四十五年曳山展示場落成以来、曳山を格納展示し、観光客の皆様を始め市民の皆様方に親しまれた曳山展示場でしたが、曳山引っ越しの日以前よりコロナ感染対策の為臨時休館となっており「曳山展示場に最後のお別れが出来なかった」と嘆く市民の声も聞かれました。旧展示場は今年から解体作業が始まり、令和七年に同じ場所に新しい展示場が竣工する予定です。
 当時緒新聞(唐津新聞・昭和四十五年十月十八日発行)によりますと、
 「唐津っ子の心意気をこめて曳山を唐津神社横に新築された曳山展示場に無事おさめる渡坐(わたまし)祭が十八日盛大に行われた。(中略)万歳三唱して式を閉じると社前に待機した曳山は一斉に祝いの餅まきおよそ二千人の市民や観光客の拍手をあびながら一番曳山の赤獅子(刀町)を先頭にかけ声も勇ましく展示場入りがはじまり、七宝丸(江川町)を最後に約三十分で全曳山がめでたく館内におさまって展示された。」

 新しい曳山展示場が完成する令和七年。コロナの状況がどうなっているかは分かりませんが、「ああ、あん時は」と皆で言いながら長年お世話になった旧展示場に思いを馳せ、曳山十四台の囃子も勇ましく新しい曳山展示場の完成を祝い、賑々しく渡坐(わたまし)祭を御斎行出来る事をご祈念申し上げます。




令和三年 唐津神祭について
 春季例大祭を終え、令和三年の唐津神祭御斎行について、先ず思案致しましたのは御神幸の事でした。昨年は神輿渡御を中止し、御旅所祭を神社拝殿にて執り行いましたが、唐津神社御鎮座につながる重要な祭礼でありますし、収穫を感謝し祝い合う祭礼という民族的伝統行事でもありますので、祭礼の形を今年は本来の姿に少しでも近づけたいと考えておりました。また、万が一天災等が起こり、神様のお力が必要と認められた場合は、唐津くんちの祭礼曰以外の日であっても御神輿の渡御を行って、禍を鎮める慣例がある事も歴代の宮司より聞き及んでおりました。しかしながら、科学や医療の技術が昔よりもはるかに進んだ今日、重要な神事とはいえ、祭りの行事を計画する上で今のコロナ禍とどう向き合うのか、これは日本全国の神社、祭り関係者の頭を悩ませる問題でもあります。
 そのような状況の中で、本来、神輿(みこし)を使用し、多くの氏子で御神幸を行う所を、唐櫃(からひつ)と言う木箱を二名で担ぎ、御神幸を斎行されている事例が全国各地でありました。少人数で行える唐櫃での御神幸は可能であるかどうか、先ずは氏子総代各位にご相談申し上げご了承を戴き、曳山取締会各位に令和三年唐津神祭の御神幸行事について神社の方針をご提示致しました。その際、唐津曳山取締会様より「大神様のお渡りを警護するのは曳山の役目」というお言葉を頂き、コロナ禍での令和二年唐津神祭斎行へ向けて準備を進めて行く事となりました。十月八日現在、曳山巡行に関しては取締会を始め、地元医帥会の皆様、関係の管轄行政機関、業界団体の皆様との協議が続いております。くんちの可否を判断するには神社・総代・取締会・総行司・神田区神輿伴揃の五者の合意が必要との慣例があります。その五者が集う「コロナ検討委員会」でも随時協議されています。
 コロナ禍のくんち開催につきましては市民の皆様を始め、氏子・曳子の皆様や観光を楽しみにされている皆様にも賛否様々なご意見を今までに頂戴致しております。誠に有難く、そして重く受け止めております。
勿論、感染症の状況次第では昨年同様厳しい判断をしなければなりません。それだけに、感染対策をしっかりと話し合う中で可否の決定が難航しております事も、多くの皆様にご心配とご迷惑をお掛けしております。 お詫び申し上げます。何卒ご理解を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

〜祭りとコロナ〜

 令和二年十一月、愛知県知立市で開催された「日本の祭りシンポジウム」の報告書が届きました。このシンポジウムは唐津曳山取締会も所属する全国山・鉾・屋台保存連合会の後援も受けており、祭りと観光とまちづくりをどのように関連させていくかを考える大会で注目していました。内容としては、諏訪大社上社御柱祭を例に挙げ、祭りの空間を共有する地域住民・来訪者・旅行業者の三者が抱える「ごみ問題」「案内人の不足」「神事のため時間的な融通が利かずツアーが組みにくい」などの不満を如何にして解決していくかという非常に興味深いものでした。また、パネルディスカッションでは昨今の新型コロナ感染症と祭りの関係についても言及されており、「このコロナの状況において、観光の伝え方や体験の仕方というのも、デジタル化がかなり進んでいくのではないかと思っています。コロナによって一挙に、バーチャル観光といった事も進んでいくのではと感じております」という意見に対して、「例えば、お票を楽しむということを考えると、本来のお祭の雰囲気や臨場感というものはリアルでしか体験できないものなのだと思います。そういう意味では、オンラインとは一番かけ維れているのかもしれません」という意見もあり、祭りをリアルにどう伝えるかについて熱く議論が行われておりました。
 このシンポジウムの報告書の最後のページに

「祭とコロナの共同を目指す宣言」

という宣言文が掲載されております。祭りに携わる一神職として心打たれるものがありましたので、以下その全文を掲載させて頂きます。
 【今年、新型コロナウイルスが発生しパンデミック状態となりました。日本政府も緊急事態宣言を発出し、日本列島全土にわたって人の集まりが自粛され、全国の祭行事は一斉に中止されました、
 現在も終息に向けて一進一退の現状が続いています。
 一方、我々が毎年継承し続けてきた伝統的祭には、今回のコロナのような疫病の流行や自然災害を乗り越える日本人の気概が組み込まれています。例えば、山車祭のルーツといわれる京都祇園祭は、貞観十一(八六九)年国内各地で発生した厄災、疫病を祓うために、当時の国の数である六十八本の鉾を立て、祗園の神を祀った祇園御霊会に端を発しています。
 現在は平安時代と違い、科学的に物事を処理しなければならないことは自明の理ですが、我々日本人の心の奥底には災害や疫病を人知の及ばぬものと謙虚に受け止めて、その苦難の克服には神仏の救済を頼みとしつつ、祭に団結して人心の再起を図ってきたのではないか、とも考えます。
 今、コロナとの闘いの中で、コロナとともに生きる新しい生活スタイルが求められています。 この際、伝統的祭の関係者は祭とコロナの共生を考える時ではないでしょうか。我々は、科学的知見に基づいて確実に対処しつつ、伝統的な祭文化を絶やさないよう、コロナと共に生きるしなやかな生活様式を通して、祭を持続する事を宣言いたします。】

 二〇二〇年十一月十四日
 
唐津神祭
 ※新型コロナウイルス感染症拡大抑止の為、神輿渡御・曳山巡行は中止

十月九日(土)

 ◎午後七時 初供日奉告祭
    唐津曳山囃子保存会 令和3年当番町 木綿町 囃子奉納
    ※本年は感染症対策の為、囃子保存会・当番町のみ奉納

十月二十九日(金)

 ◎神輿飾ノ儀
    令和三年 総行事  一ノ宮 中町   二ノ宮 木綿町 
 ◎午前十一時 本殿祭 (社報には漏れていました。神社に確認して加筆します。)

十一月二日(火)

 ◎宵曳山巡行は中止  (感染症対策の為)

十一月三日(水・祝)

 ◎午前八時 神田獅子舞奉納
 ◎午前八時四十五分 発輿祭(於拝殿)
    ※本年は感染症対策の為「唐櫃」渡御。
 ◎午前九時三十分 発輿(唐津神社出発)
 ◎午前十一時十分  御旅所祭(於西ノ浜)
 ◎午後三時 アルピノ曳山展示場格納

十一月四日(木)

 ◎翌日祭曳山巡行は中止(感染症対策の為)
十一月五日(金)
 ◎神輿納ノ儀
    令和四年 総行事 一ノ宮 材木町 二ノ宮 京町

〜祭りと酒〜
 鳴滝酒造(株)
   今年の唐津神祭に向けて 特別仕様の清酒醸造


  鳴滝酒造株式会社様(唐津市神田)が、今年の唐津神祭を寿ぎ、特別仕様の清酒を醸造されました。十月五日には、代表取締役の古舘正典氏御参列の下、醸造の奉告祭を斎行し、清酒のラベルを祓い清め、神祭の無事斎行と、来年以降の賑やかな神祭斎行をご祈念申し上げました。
 そのラベルには特別仕様の清酒に込めた願いが書き記されております。


 「コロナウイルス禍により、今年の唐津くんちは十一月三日「御旅所神幸祭」のみが執り行われる見込みとなりました。感染拡大防止への最大限の配慮のなか勇壮な祭りの雰囲気は望むべくもありませんが、神事は厳かに執り行われ、唐櫃渡御にて唐津神社の御神体が十四台の曳山に護られて、安寧を折り唐津のまちをお渡りになられます。
 様々な制約の中とはなりますが、二年ぶりに囃子の音色が響く今年の秋を感謝の心で静かに祝う、そのような場で役立てればと思い、贅沢な大吟醸ブレンド酒を準備しました。 来年こそは唐津くんちが盛大に開催され、城下町・唐津が熱気で燃え上がる三日間を迎えられることを、皆様と共に強く願いつつ。」


 神社では神様へお供えするお酒を神酒(みき)と言い、重要なお供え物の一つです。日本国の正史「日本書紀」によると、高天原という神様の世界から、我が国を統治するために天下る神に対して、天照大御神が稲作を伝授したのが我が国における稲作の原始と記されています。それ以来、我が国では神々に対して春には豊作を願い、秋には収穫に感謝するお祭りが執り行われてきました。特に秋のお祭りでは、その年に収穫された新穀を神様にお供えする他、新穀を酒や餅に加工して神様にお供えし、その恵みに感謝すると共に収穫を祝いました。
 唐津神社の秋季例大祭唐津くんちは、秋の収穫を神様に感謝申し上げ、この地域の安寧を祈るお祭りです。今年の唐津くんちは新型コロナ感染症の影響で粛々と行事が行われますが、近い将来、賑々しい勇壮な祭礼の姿を取り戻す事が出来ますよう、合わせてご祈念申し上げたいと思います。


▼行事予定▲
◎唐津くんち
  七五三祭は別掲


 下旬 支部大麻頒布式


◆十二月
 初旬 大麻頒布式
 三十一日 除夜祭
      古神札焼納祭


〇令和四年
◆一日
 元旦 歳旦祭
 六日 新年祭
 初旬 新春囃子初め式


◆二月
 三日 節分祭
 十一日 紀元祭
 二十三日 天長祭


 月次祭=毎月一日・十五日


《総代異動》
山下町
  久田 秀俊  退任
  松本  学  新任


《唐津曳山取締会  元老
     福本芳三氏 帰幽》


 唐津曳山取締会 元老
福本芳三氏 (江川町)が令和三年四月にご逝去されました。御生前の御功績を偲び、心よりこ冥福をお祈り申し上げます。

【曳山情報】
◎例年五月に開催される唐津神社旗争奪「曳山十四ケ町親善スポーツ大会」は新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、来年に延期されました 当番町は引き続き平野町の担当となっています。
 光触媒コーティング施工

 十月七日、タマキホールディングス株式合性様の御好意により、唐津神社拝殿並びに授与所・お手洗いの消毒作業(室内を持続的に抗菌できる光触媒コーティング)を行って頂きました。
 今現在、唐津神社では手水鉢の使用禁上、鈴緒の撤去、手指の消毒用アルコールの設置、拝殿の十分な換気、できる訳り祭典は一家族単位で行う等、新型コロナ感染症拡大防止対策を行っております。
 しかし、これから七五三や正月と、昇殿参拝を希望される方々が増える状況を迎えるにあたり、さらなる感染対策を思案していたところ、今回無償にて消毒作業を御奉納頂き、誠に有難く感謝申し上げる次第で御座います。

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