唐津神社社報より唐津神祭に関わる記事を抜粋してネット化致します。
唐津神社社報   第114号   平成29年4月1日発行
発行所 唐津神社社務所
発行人 戸川 忠俊
編集人 戸川 健士
印刷所 (有)サゝキ高綱堂
 
 
  昨年十二月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に全国十八府県三十三件の祭りで構成されている「山・鉾・屋台行事」が登録されました。そしてこの度、五月十三日と十四日の二日間、登録記念祝賀行事として、唐津くんちの曳山行事を含む九州五団体のお祭りが福岡に集結し、合同巡行を行うことに決まりました。
 唐津くんちの他に博多祇園山笠(福岡市)・戸畑祇園大山笠(福岡県北九州市)・八代妙見祭(熊本県八代市)・日田祇園(大分県日田市)の山車や山笠が福岡市役所周辺を巡行します。十三日は宵山飾りを施し、夕刻から、十四日は昼から巡行が予定されています。唐津くんちからは代表として第十一番曳山米屋町「酒呑童子と源頼光の兜」が出動します。その選定の理由として、昨年行われた日本の伝統まつりポスターコンクール展において酒呑童子と源頼光の兜が見事全国大賞に選ばれたこと、また、同ポスターが現在唐津くんちの「ユネスコ無形文化遺産」登録決定のポスターにも使用されており、内外に有名になった事で選定されました。



「曳山初出動よもやま話」

 さて、曳山が初めて唐津以外の地に出動したのは、昭和二十六年四月八日、福岡市で行われた 『博多産業祭』という催しに出動したのが初めてです。この時出動した曳山は、刀町・新町・米屋町だったわけですが、何せ初めての出動。まず、どうやって曳山をトラックに積み込んでいいか解らないわけです。今は分解、梱包してクレーン車で吊り上げてトラックに積み込むわけですが、当時はその発想がなかったようで、結局どうしたかといいますと、まず曳山を唐津駅まで曳いていって、当時の唐津駅はまだ地べたにありましたので、貨物用のスロープを使って一旦ホームに曳山を上げて、そのあと駅のホームにトラックを近づけて曳山をトラックに積んだそうです。ここまででも大事業なんですが、その後もすごい!曳山をそのままトラックに乗せているので、もちろん台車も付いたままです。ということで、先ずは曳山の高さを一番下まで下げて、シートをかぶせて、そして、この辺りがいかにも唐津人らしいところですが、台車に囃子方を乗せて、ジャンジャン囃子をしながら一路、福岡の地へ向かったそうです。で、福岡に向かうには、今のような上等な道が無いので、虹の松原の中を通ることになるのですが、通行中、どうしても松の枚が邪魔になる。ということで、今度は、シートをかぶせた曳山の上にナタとノコギリを持たせた人を上げて、邪魔になる枝をダイナミックにバッサバッサ切りながら進んだそうですが、今こんなことをやりますと、林野庁あたりからコツピドクお叱りを受けます。とてもじゃないですけど出来ません。当時の人の話が残っておりますが、「おお、こいやったら (切った松の枝で)オンジャオンジャの2回ぐらいできるばい」と言われたとか、すさまじい話です。さてそんなこんなで福岡に到着をするわけですが、トラックから曳山を降ろさないといけない。で、どうやって降ろしたかといいますと、地面に穴が彫ってあったそうです。そこにバックでトラックを入れて、無事曳山は大地に降り立つことが出来たわけですが、この仕組みに感心した唐津の方々は、直ぐに福岡から唐津に電話をかけて「大きか穴ば掘っとけ1」という伝言を入れたそうでございます。

 
 曳山の里づくり委員会発足
〜植林事業〜
 曳山の修復に必要な材料の内、手に入れることが困難になってきている木材に関して、今後の対応を迫られる中、昨年、唐津曳山取締会は特別の委員会を設置し、植林事業を立ち上げる事を決定しました。その第一回委員会は平成二十八年七月十四日、県市職員、さらには樫材の専門家である松岡樫工場(大川市)の松尾武氏を招き開催され、まず現時点での唐津市内、県内、九州、そして全国的な木材の現状、流通について説明がありました。そして曳山の修理に必要な樫・欅・松の良材については九州でも年間二〜三本が市場に出る程で、管理(乾燥期間)も難しい為この先安定的な確保は見込めず、経費も高騰している現状にあり、これから益々手に入りにくくなる事は明確、との結論に至りました。次にそれらの木材確保の為の施策について、唐津市内にて植
林を行う事が検討され、その候補地について検討致しました。平成二十九年三月三十日には候補地の視察が行われ、七山の私有林・厳木町の私有林・相知町の県有林・菅牟田の私有林を視察。今後は候補地の標高や土壌について専門家と相談しながら植林場の決定を行う事になります。
 今回の植林事業について、特に懸念されているのが今後入手困難な事が予想される曳山の心木や梶棒に使用される樫材の確保であり、樫材については、植樹から伐採まで百年から二百年かかる大事業となります。そのため、取締会では今回の事業を単なる植樹だけに終わらせることなく、木の生長をどのように将来の曳子達に受け継いでいくのかも同時に検討すべき事であると協議されました。また、植樹した木の管理は全て樹木の専門家にまかせるのでは無く、各町の曳山関係者が下草狩りなどの作業を通じて木の生長を見守り、今後の曳山保存と曳子の育成を目的とする事を前提としており植林場の視察でも、木の生長に相応しい場所は当然として、人の集まりやすい、特に子供達が訪れやすい場所と言う事も考慮されながらの視察となりました。
 また、今回の植林事業に関して、将来曳山の材料となる木材が生長する植林場の名称を「曳山(やま)の里」とする事が決定しました。名前の通り、曳山の材料の故郷の場所となるので、この先選定される場所が唐津っ子の第二の故郷として大切に扱われ、長く愛される場所になることを願いたいと思います。


 ▼行事予定▲
◆四月二十六日
 ・佐賀県神社関係者大会
  (於唐津市文化体育館)
 ・講演 ジャーナリスト
  三荻祥氏(同日同場所)

◆四月二十九日
 ・唐津神社春季例大祭

◆五月十一日〜十二日
 ・九州各県神社庁連合会
 神職総会(大分県)

◆五月十三日〜十四日
 ・曳山出動(福岡市)
  ユネスコ登録記念行事

◆五月二十一日
 ・曳山各町親善スポーツ大会
  (相知町・天徳運動公園)

◆六月十四日〜十六日
 ・総代会研修旅行
  (伊勢神宮正式参拝旅行)

◆七月二十九日
 ・唐津神社夏祭り
  芋輪くぐり神事

◆八月十五日
 ・戦没者慰霊祭並びに祖国復興祈願祭

◆九月初旬
 ・国民精神昂揚合同研修会 (佐賀市)

◎毎月一日・十五日 月次祭


 ▼曳山情報▲
◎第三十四回唐津神社旗争奪「曳山十四ケ町親善スポーツ大会」
 五月二十一日(日)に唐津市相知天徳の丘運動公園グランドにて行われる。今年の種目はソフトボール。当番町は新町。

《総代異動》
木綿町 正田 誠一 帰幽
木綿町 山中 浩  新任
大名小路
    佐久間太郎 退任


神社東側
 新参入口整備

 この度、旧大島邸が唐津神社東側の南城内駐車場付近に移築完成しました。唐津神社としては、自家用車による参拝者の増加に対応する為、参拝者様の利便性を考え、以前より南城内駐車場との直通通路を確保する事を望んでおりました。そして今回の旧大島邸移築に際して、唐津市とのご協議の結果、南城内駐車場側にあった壁の一部を開き、新たな参道を設けることとなりました。新参入口には段差があるため、スロープを設け、車椅子での通行も可能となるよう計画中です。 

 

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