唐津神社社報より唐津神祭に関わる記事を抜粋してネット化致します。
唐津神社社報   第105号  平成24年10月1日発行
発行人 戸川 忠俊
編集人 戸川 健士
印刷所 (有)サゝキ高綱堂
 新町 「飛龍」出動
 
〜玄界灘に架かる 友情の架け橋〜



 去る、平成二十四年六月二日に大韓民国 麗水(よす)市にて開催された「二〇一二麗水世界博覧会」に唐津くんち七番曳山「飛龍」が出動致しました。
 今回の出動にあたっては、唐津市と姉妹都市(今年で姉妹締結三〇周年)である麗水市の皆様、また新町町内会の皆様、さらには約一五〇名にも及ぶ訪問団など、沢山の皆様方のご協力あってこそ無事成功裏に収めることが出来たと思います。本当にお疲れ様でした。
 六月一日夕刻、唐津東港より大型フェリー「カメリア」に乗船した我々訪問団は、手を振る見送りの方々に紙テープを投げ渡し「別れテープを笑顔で切れば、希望はてない遥かな潮路、ああ憧れのハワイ航路」という歌さながら一路麗水の地を目指しました。船内では出航と同時にあちこちの部屋で宴会が始まり、麗水出動の機運は益々盛り上がるのでした。
 本来、麗水の地を訪れるには、博多港からビートルなどの定期船に乗り、先ずは釜山に上陸して陸路をバスで移動して長時間かけて向かうのですが、今回はなんと唐津から麗水世界博覧会の会場に直接船が着くという計画。その他、ビートルも唐津港より出港すると言うことで、唐津の方々も気軽に麗水世界博覧会を訪れる事が出来る事となりました。
 一夜明けて麗水市近海、朝を迎えた船内では曳子装束に身を包んだ曳子の皆様が大きな荷物を抱えて下船の準備です。やがて船は麗水世界博覧会会場に直接入港し、その場で入国審査を受け、世界博覧会会場へ入場。曳山出発まで、しばし自由時間となりました。現地の皆様方は曳子装束が珍しいのか、パビリオンや数ある催し物そっちのけでベンチに座って食事中の曳子の皆様を写真に撮ったりされておりました。
 お昼過ぎ、待機場所で出発準備が整った飛龍の前にて安全祈願祭を齋行し、パレードの安全と曳子の皆様方の安全、そして唐津市と麗水市との友好が末永く続くことを祈念致しました。パレード中の飲酒が禁止されているため、少し多めに御神酒を戴き出発。天候は晴れ。海からの潮風を受けながら飛龍は麗水の空を舞うように博覧会会場へと入りました。メインストリートの沿道を埋め尽くした観光客の皆様からは「モシソダ!(かっこいい)」「ヒムチャンギウン(勢いがある)」等の声が上がり、囃子の音色と唐津っ子の勢いに乗せられて「エンヤ!エンヤ!」のかけ声をかける方もいらっしゃいました。
 博覧会の会場を沸かせた飛龍は、その後会場を後にし、麗水市内のパレードへと参加しました。先頭を行くのは麗水国楽団、その後ろには唐津の坂井市長とキム・チュンソク麗水市長の乗った車が続き、その後を曳山囃子も賑々しく飛龍が続きます。市内パレードの途中には急な坂が各所に存在するため、今回の出動において課題になっておりました。その解決方法として、曳山の後方にも綱を付け、急な坂にさしかかると後ろの綱を曳きながら調整をする方法を取り、無事難所の坂道を突破。沿道から沸く歓声と拍手を受けながらゴール地点へと到着しました。
 さて、その夜。宵山飾りを施した飛龍は再度、麗水の街へと繰り出します。昼の装いとまた違った華麗な姿に息をのむ沿道の見物客。空を舞うように上下する飛龍を見る方々の顔も上下しています。夜のパレードのフィナーレでは、「玄界灘を、ゆりかごに ゆりかごに」の歌も飛び出し、最後は会場の皆様方全ての万歳三唱で目出度く曳き納める事が出来ました。
 「いいものには国境が無いんだと確信した。これからも一歩一歩しっかりと親睦を深めていきたい。」 これは今回の出動に大変ご尽力頂きました新町正取締梶山氏の言葉です。玄界灘に架かる友情の架け橋を、今後とも沢山の方が渡られることを切に願います。




 麗水市内を巡行する飛龍
 
麗水市内を巡行する飛龍
 
麗水・唐津両市長を先頭にパレード
 
(宵曳山飾りをして)
パレードの終点に到着した飛龍



唐津神祭
十月九日(火)
 ◎午後七時 初供日奉告祭

十月二十九日(月)

 ◎午前九時 神輿飾ノ儀
    総行事  一ノ宮 本町 二ノ宮 呉服町
 ◎午前十一時 本殿祭

十一月二日(金)

 ◎午後七時三十分 宵曳山曳出
  各町曳山万灯をともして社頭勢揃(午後十時頃〜)

十一月三日(土・祝)

 ◎午前五時 神田獅子舞奉納
 ◎午前九時 発輿祭
 ◎午前九時三十分
       ☆御神幸発輿 (煙火五発合図−市内一巡)
 ◎正午 御旅所祭
 ◎午後三時 還御
       ☆御旅所発輿 (煙火五発合図−曳山は町内へ)

十一月四日(日)

 ◎午前十時 翌日祭  曳山社頭勢揃の後曳出
 ◎午後二時三十分 米屋町曳出
 ◎午後四時 江川町通曳出
 ◎午後五時頃 曳き納め (曳山展示場へ=煙火五発)

十一月五日(月)

 ◎神輿納ノ儀
   総行事 一ノ宮 八百屋町 二ノ宮 中町


「全国唐津っ子連合」と称する団体について

  ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、今年五月頃より「全国唐津っ子連合」と称する団体から、唐津在住の方、あるいは唐津出身で県外在住の不特定多数の方々に封書が送られているようです。
 中の手紙を見てみますと、「唐津曳山の増設を図りたい」とする旨の文が書かれておりました。このことから、唐津曳山取締会に対し、何か関係があるのかという問い合わせが多数寄せられ、先日九月二十日に曳山本部役員会が、また九月二十三日に唐津神社臨時総代三役会が開かれました。
 その結果、この「全国唐津っ子連合」という団体は、現在曳山行事を統括している唐津曳山取締会、そして唐津神社・唐津神社氏子総代会とは全く関係の無い団体である事が分かりました。
 また会議の中で紺屋町・八百屋町の町内会では「黒獅子」「三尾の金魚」の作製は考えられていないという事実が判明し、さらには、曳山作製に関して、本来の姿ではないとの理由から、賛同協力は出来ないとの結論に至りました。
 よって、「全国唐津っ子連合」と称する団体は、唐津くんちに関係する団体と一切関係ありませんので、皆様にはご承知頂きたく、お願い致します。


社頭講話
人生儀礼 〜初宮参り〜
禰宜 戸川健士

 人は一生のうちに、数多くの祝い事を重ねていきます。日本、とくに神社界ではこれを、「人生儀礼」といい、古来より生きていく上での一つのけじめであると考えられてきました。
 前回はその中でも「お七夜」を取り上げましたが、今回は「初宮参り」について述べたいと思います。
 「初宮参り」とは誕生後、お七夜(命名の儀)のお祝いを済ませた赤ちゃん」が初めて氏神様にお参りをするというしきたりです。単に宮参り、九州では「日晴れ」という地域もあるようです。氏神様とは自分が居住する地域の守り神、産土神(うぶすながみ)とも言われる神様で、初宮参りは晴れて氏神様の氏子として仲間入りを認めていただく為の儀式の意味合いがあります。従って自宅周辺か親御さん出身地、実家周辺の神社へ赴くのが古式よりの初宮参りの作法といえます。
 初宮参りは一般的に生誕後、産まれた日を一日目として、男児は三十一日目や三十二日目、女児は三十二日目や三十三日日に行うところが多いようです。お宮参りの日については地方により様々で、古くは七十五日や百日に行っていたという記録もあります。ですので必ずしも日数を守る必要はなく、1ケ月の検診が終わった後の穏やかで、ご家族様の都合の良い吉日を選んでお参りされると良いと思います。
 宮参り当日の赤ちゃんの衣装ですが、赤ちゃんに掛ける衣装を祝い着(初着)といいます。祝い着は一つ身と呼ばれる背縫いの無い着物で、かつては母方の実家から嫁ぎ先の家紋をつけたおめでたい柄の衣装が送られました。正式な祝い着は男の子の場合羽二重地の紋付で鷹や兜など勇壮でめでたい図柄の「慰斗目模様」、女児は倫子地(りんず)や縮緬地(ちりめん)に花柄などをあしらった「友禅模様」が用いられます。
 付き添いのお祖母様やお母様は、かつて黒留袖と決まっていましたが、今では無地の一つ紋や小紋、訪問着、着物でなくともスーツやワンピースなど略式にされる人がほとんどです。男性はスーツにネクタイが一般的です。
 初宮参りのお祓いを受けられる際に質問が多いのは赤ちゃんを誰が抱くかです。赤ちゃんを抱くのは父方のお祖母様がしきたりですが、場合によっては母方のお祖母様、お母様でも差し支えありません。なぜお祖母様が抱くのかというと昔より日本ではお産が穢れ(けがれ)たものとして考えられていた為、お母さんもお産後、三十日の忌籠もりの期間を経て、ようやく初宮参りが忌明けになるとされていたからです。
 お宮参りが済むとその足で親戚やお祝いをくださった家に御礼の挨拶回りをする風習もあって、訪問を受けた家はあらかじめ用意しておいた犬張り子やでんでん太鼓などを祝い着に結びつけて祝いました。犬張り子を贈るのは犬が魔性を除ける信仰からきたものです。
 「犬」というともう一つお宮参りの時に、赤ちゃんの額に「犬」や「×」を書く「綾子」(あやつこ)と呼ばれる風習がある地方もあります。これも魔除けの印で、安産祈願の時のようにイヌの子が良く育つということにも由来しているようです。
 古文献ではこの「あやつこ」の風習は紅で書いたとありますが、紅は都の上流階級のみで使われていたことから、一般庶民は「墨」、しかも「鍋墨」で書くのが決まりだったようです。この「なべずみ」を額に付けることで荒神(竃の神)の庇護を受けているという意味を持っていたようです。神事に参列する稚児が同様の印を付ける例もあります。
 このように「初宮参り」と言ってもそれぞれの地域、また家庭で、いろいろなしきたりが存在します。しきたりはしきたりとして心得た上で、初宮参りのときには、父親、母親は純粋に赤ちゃんの健康と成長を祈りたいものです。
 

奉納灯籠一対

 平成二十四年六月吉日、唐津神社社頭大広前(境内正面入口大階段手前)に、燈龍が一対奉納されました。これは新町の有限会社吉光石材様(工場は、唐津市菅牟田)よりの奉納で、平成十三年に同じ場所に、有限会社吉光石材様と新町町内会様より合同で奉納頂きました燈寵よりも一回り大きく、高さも高い物となりました。社頭のより一層の賑わいと、参拝者の皆様方の導きを御祈念申し上げます。
 また、前回奉納頂きました燈籠一対は曳山展示場側の入口付近へ移動され、参拝者の皆様方の浄き、明るき、直き、正しき御心の導きとなっております。

 
中町 青獅子 総修復完成
 

昨年より、進められていた唐津くんち二番曳山・中町「青獅子」の総修復作業が、この度無事完成し、十月七日に落成披露ならびに一九〇年祭が執り行われる。今回の披露では祝舞として、青獅子のモデルとなったとも言われる「神田カブカブ獅子」や佐志八幡宮所蔵の「獅子カブ」の披露も予定されており、青獅子の塗替に花を添える。

 
 

inserted by FC2 system