昭和48年7月28日 唐津新聞

「曳山」に呼称を統一
県教委 地元の声を認める

 唐津くんちの主役を務めるヤマが曳山取締会、唐津神社などの要望に答えて、呼び方が「唐津山笠」から「唐津曳山」に変更されることが、このほど開かれた県教委で決まり、二十七日市教委に連絡があった。
 「唐津山笠の名は県文化財の重要民俗資料として、昭和三十三年一月二十三日に指定されたことで正式な呼び方≠ニして用いられてきた。
 ところが、数年前から山笠では、他所でみられる飾り山笠と間違えられやすく唐津のヤマのイメージダウンにつながると、くんちや関係者の間では「曳山」と呼ぶようになり、観光パンフレット、展示場なども「曳山」を使ってきた。ところが、文化財登録の方は「山笠」のままで、正式にはあくまで「山笠」だった。
 「曳山」が適当だという声が次第に強くなり、市教委はこの二月、次の三点を理由に名称の変更を県教委に申請していた。理由はまず、明治九年に書かれた江川町、水主町の順番争いを調停した時の約定書に、はっきり「曳山」と表現されていること。山笠では飾り山や据えたままの山に間違われ、ダイナミックな動く山のイメージが浮かばない山町内や取締会、唐津神社も曳山が適正だとしているーで、資料をつけて申請。
 県教委は、県文化財専門委に諮問、二回にわたる審議の結果、申請通り答申され、これに基づいてさる二十三日に、正式に「唐津曳山」に変更することが県教委で決められた。
 市には、まだ電話による連絡だけ。近く文書で正式連絡がある予定で、今後はすべて「唐津曳山」の名称が使われることになる。