刀町山笠の原型“獅子頭”
製作者石崎家に代々伝わる
 

唐津名物の文化財山笠群中の一番山笠赤獅子の原型「獅子頭」がこのほど判明した。その持ち主は市外浜アにある教護施設虹の松原学園に住む、同園長代理川崎渉助氏(38)で、氏の語るところによるとこの獅子頭は氏の令閨佐和子さんが、玉島にいる厳父石崎藤三郎翁(76)から譲られたもので、形は木彫の二本の角、そり耳の、高さ、幅ともに二十センチ、下あごが離れるようになっている獅子頭で、初めの塗り色はわからぬが時代で黒ずんでいる。
 今までの調査によると刀町の赤獅子旺文政二年刀町の石崎嘉兵衛さんが、伊勢参宮の帰途立ちよった京都祗園の山鉾にヒントを得て製作し、これを唐津神社に奉納したと伝えられその刀町山笠を製作するに当ってこの原型をこしらえたものといわれている.石崎家は代々唐津領六万石のうち二万石を酒を造っていた家柄で、前記藤三郎翁は嘉兵衛さんから三代目に当る。なお紀録によると嘉兵衛さんは呉服町の山笠義経の兜も製作奉納しているが、製作者不明の本町の山笠金獅子.魚凰町の山笠鯛も同人の製作奉納したものと臓三郎翁は語っている。
特にこの原型は写真でもわかるように上部半分は中町の山笠青獅子、下半分は刀町をこれによって作ったことも確認される。
 

昭和38年4月12日唐津新聞