「母校百年史」より


第21  志道小学校


昭和三十二年八月三十一日、待望の新校舎の本体が竣工した。それより内部施設の整備、運動場の整地、器具機械の、充実した設備などの施工が進み、十一月三日の文化の日を選んで新校舎落成式と、記念運動会が厳粛に又華々しく挙行された。

  
志道小学校新築工事慨況
1 所在地 唐津市西城内四番四三号
2 校地面積 九、二三三u
   内敷地 四、四三五u
   運動場 四、七九八u
3 校舎面積 三、七四八、七u
   内一階 一、二三七、〇六u
   二 階 一、二〇〇、七u
   三 階 一、二〇〇、七u
   その他 一一〇、三u
4 総工費 五、一三七万円
   内国庫補助 九〇四万三千円
5工事期間 着工昭和三十年四月十四日
   竣工昭和三十二年八月三十一日
6 設計者 唐津市建設課
7 本体建築施工者 株式会社 岸本組
8 給排水衛生設備者 三機工業株式会社
9 電気工事施設者 九州電気工事株式会社
10 校  舎
  志道小学校  新校舎
   普通教室 二十一
   音楽室  一
   理科準備室 一
   養護室  一
   校長室  一
   放送室  一
   宿直室  一
   便 所  六
   図書室  一
   図工室  一
   理科室  一
   資料室  一
   職員室  一
   事務室  一
   用務員室 一
   給食炊事室 一
   倉 庫   四




小笠原教育長の志道小学校開校宣言



志道小学校開校祝賀式




志道小学校々旗贈呈式


 志道小学校の枚歌に讃えられている如く、「山は緑に、海原青くやさし、うるわし松浦郷」と云う恵まれた立地条件を最大限に生かし、絶好の教育環境の中に建設された志道小学校は、小学校としては類例を見ない程充実した施設を完備している。児童の健康と安全の管理・維持の面からも細心の配慮が払われ、これからの教育方向を展望して視聴覚に重点を置き、特に自然科学と人文科学の指導育成の施設を完備して、新しい姿でその全機能を発揮することになった。昭和三十二年十一月七日、いよいよ新校舎へ城内・内町の東地区児童の移転が始った。唐津小学校の旧校舎の、あの教室、あの廊下、あの壁のしみ、あの鉄棒の冷たさ、あの橘の木……、など懐しい思い出は先生の胸にも、児童の心にも今更の如く蘇えって、哀歓こもごも去来する中に、先生と児童は暑い日も、寒い朝も一緒に勉強を助けてくれた古机や腰掛けを抱え、引きずりながら、新校舎へ運んだ。心を躍らせ、胸ふくらませて入った新校舎は期待に違わず美事な「カッコイイ」学校だった。そしてこの新しい校舎の中には、市長さん始め市民の皆さんや、PTA、同窓会、の人々の温かい心が一ばい詰って盗れているように思われて、歓喜の中にも感謝と勉励の覚悟が湧いたのであった。
 翌昭和三十三年三月二十六日になって、志道小学校の分離も終了し、唐津小学校に残った大成小学校の体制も整ったので、東側校舎の三棟、四、五、六部及び、八部の解体作業が開始された。双生児の誕生を思わせるような志道、大成両校の分離独立は、母体の唐津小学校をダイビングボードとして巣立ち、飛躍することを希求しながらも、その校舎が解休されて行く姿は、子鯨を産んだ巨鯨の解剖を見るようで淋しさと悲しさの極みであった。そして六十年以前先輩と先賢の血と汗の結晶が、かくも脆く失われてゆくものかと、その壊わされて行く姿は、何とも哀れであった。
 かくして昭和三十三年三月三十一日、唐津市立唐津小学校は名実共に解消して、新生の大成・志道両校が誕生し、分離独立の旗を挙げたのである。
 昭和三十三年四月七日、新装成った唐津市最初の鉄筋コンクリート三階建の教育の殿堂である、志道小学校に於て開校式が挙げられた。小笠原悟唐津市教育長は音吐朗々、志道小学校の開校を厳粛な中にも歓喜と希望に溢れて天下に宣言した。ここに新生の志道小学校は力強く誕生し、雄々しく発足の第一歩を踏み出したのである。そして四月二十九日に開校の式典と祝賀会が華々しく挙行され、新生志道小学校の限りない未来への希望と飛躍を期待して、今日の輝かしい勇姿を寿ぎ祝ったのである。百年前藩校志道館として幾多の偉大なる人材を育て、尊い歴史を生んだこの由緒ある地に、次代を担う若人の教育の聖地が誕生したことは、伝統と由緒に満ちた旧唐津小学校が消滅することを、愛惜するよりもなお有意義なことであった。かくて新しい校章が制定され、校旗が生まれ、昭和三十四年二月十日、全校生徒、教職員によって厳かに推戴式が行われ、志道小学校の象徴として尊ばれることになった。志道小学校の「志」を中心に置き、小笠原藩主の家紋の三階菱で囲む旧唐津小学校の校章を受け継ぐ床しい姿から、松浦潟の生命である緑の松の葉を三方に雄飛させて、教育の三つの柱である智徳体を現す姿の校章は尊い! この校旗の下で次代の唐津市民、未来の日本人を養育薫陶するために、盛んに教育研究が行われ、活発に実施に移されて、年々その成果は各種研究発表会として、又各方面からの賞讃の辞と、受賞の姿として結実している。かかる輝かしい業績も旧唐津尋常高等小学校の生みの親であり、初代校長であり、児童・生徒から慈父の如く尊び、慕われた大川謙治校長の遺徳であるとして、昭和三十七年五月二十二日、旧唐津小学校々庭跡に再建されていた大川校長の陶像を、志道小学校々庭に移建し、厳かに除幕式が行われた。又、七月十九日には大鼓笛隊が編成され、百五十人分の楽器の購入が終わり、運動会その他、色々の行事に活躍している。昭和三十八年には、本校児童によって、交通自治班が組織され、交通安全に対する認識や実施の功績と、多年にわたり交通事故防止に尽力した功労に対し、全日本安全協会長賞を受けるなど社会教育の面の成果も華々しい。かかる中に待望の体育館が建設に着手され、屋内運動場兼講堂、更に諸集会に活用される設備を有する多目的な巨体が校庭に現われた。総工費一、五〇〇万円を以て、鉄骨鉄筋の六〇二、四二平方米の体育館が内山組により竣工し、昭和四十一年十二月十日、落成祝賀式が挙行された。尚多目的に使用されるためにその設備も多彩を極め、その充実のために、「内容充実推進委員会」が発足し、校区内の父兄・有志の教育意欲と母校愛、郷土愛に訴えて募金に努力し、遂に素晴しい体育館を完成させたのである。
 そして昭和四十三年十一月三日、文化の日を選んで志道小学校々歌が制定された。山は録に、海原青く、やさしうるわしの松浦の郷に、ゆかしの誇りを持つ志道館の名の下に、強く、正しく、明るい人を鍛え育てて、力に盗れ、希望に燃えて、羽搏き進む志道小学校の雄々しく健やかな児童を希った校歌は、志道小学校の在校生と卒業生の心の故里の歌であり、雄飛する雄叫びである。この雄壮にして、又軽快なリズムの校歌が全校児童によって体育館も破れんばかりに合唱され、華々しく発表されたのである。
 その後、視聴覚教育と理科教育の推進のため、昭和四十八年三月親子式カラーテレビ二十四台を購入し各教室に設置すると同時に、スタジオと調整卓を備えた放送室を開設した。そして理科準備室、薬品室なども整備されて知育の進歩に努め、体育館の建設並びに簡易組立式プールの設置や、運動場・運動器具の施設に力を尽して体育の向上に励んだ。又植樹緑化の奨励、岩石園の奉仕作業、児童の交通自治斑の組織など、環境の整備による徳育の育成に勉め、学校と言う集団の中で、社会的な経験と教養を積み重ねつつ、豊かで楽しい学校生活を送っているのが志道小学校の今日の姿である。
 志道小学校の現況

  校  歌
 詞  学 校 制 定
 曲  高 田 重 男
一、山は緑に 海原青く
  やさしうるわし 松浦の郷よ
  心合わせて たのしく学ぶ
  我らは 唐津志道校

二、強く正しく 明るい人に
  鍛え育てた あの志道館
  ゆかし誇りの その名をうけて
  我らは 唐津志道校

三、寄する潮に 力はあふれ
  昇る朝日に 希望は燃える
  力と希望に はばたき進む
  我らは 唐津志道校


 校 区 略 図



 研  究  歴
昭和三四・三五・三六年度 市教委委嘱 理科教育
研究主題 児童実験観察の能力を伸ばす理科の学習指導
昭和三九・四〇年度 県市教委委嘱 国語教育
研究主題 国語教育における作文教育
昭和四二・四三年度 文部省県教委委嘱 道徳教育
研究主題 効果的な道徳指導の研究
昭和四三年一一月二七日
 同上主題により研究発表会を開く。
 昭和四五年七月二三日
        教育機器(アナライザー)の貸与(学研)を受け教育機器導入による学習指導法の研究に着手。



 施 設 設 備

  校舎施設見取図

A 浄 化 槽  B 焼 却 炉  C 危険物入れ D 自転車置場 E 小鳥小屋 F 噴 水 池
G シーソー  H スベリ台  I オーシャンウエーブ J 百 葉 箱  K 岩 石 園  L 花 だ ん
M 学 級 園  N プール格納庫 O 高 鉄 棒 P 砂   場  Q プランコ  R 藤   棚
S 低 鉄 棒  T バックネット U 体育倉庫  V はん登棒  W 回転シーソー X 更 衣 室

 

 視聴覚機材及び音楽科備品の設備状況

 視  聴  覚
 スライド映写機   二
 8mm 映 写 機   一
 8mm撮影機 (W) 一
 16mm 映 写 機(W) 一
 実 物 幻 灯 機  一
 オーバーヘッドプロジェクター 一〇
 テ レ ビ 受像機  二四
 ラ ジ オ 受信機 一八
 シンクロファックス  一〇
 カ  メ  ラ   一
 放 送 設 備 一 式  一
 OHP スクリーン  二八
 電     蓄  一
 テープコーダー   五
 ポータブル電蓄   五

 音  楽  科
 ピ   ア   ノ   三
 オ  ル  ガ  ン   六
 デスクオルガン  四五
 アコーディオン   五
 立 奏 用 木 琴   二
 立 奏 用 鉄 琴  一
 ビ ブ ラ フ ォ ン   一
 グ ロ ッ ケ ン   一
 大  太  鼓   一
 小  太  鼓   二
 シ  ン  バ  ル  一
 メ ト ロ ノ ー ム   一
 譜   面   台   三
 トライアングル   三


  児   童

 学級編成一覧(昭和五十年五月一日現在)
学年 男子 女子
13 24 37
12 25 37
25 49 74
14 17 31
15 16 31
16 16 32
45 49 94
23 13 36
22 15 37
45 28 73
23 17 40
23 18 41
46 35 81
19 18 37
20 17 37
39 35 74
21 21 42
21 20 41
42 41 83
合計 242 237 479
4組
特殊学級
4年
5年
6年
総計 243 240 483



  児童の実態

 ◇性行及び身体面
長  所
・明朗活発で社会性に富む
・男女仲よく礼儀正しく、ことばづかいがよい
・素直で伸び伸びしており物おじしない
・物事を要領よく処理できる
・乱暴な者が少ない

 ◇学 業 面
・学習態度がまじめで、向上心・追求心がある常識豊富で読書欲がありよく発表する
・知能は一般的にすぐれている
・けいこ事に熱心である
・書写力に富み文字の美しい児童が多い

短  所
・行動に裏表があり、利己的である
・物の取扱いが雑で、同情心に欠ける
・勤労を好まない
・甘えっ子が多い
・体格はよいが、体力、持久力に欠ける
・近視、弱視といわれる子が多い
・肥満児がふえている
・耐久力がなく依頼心が強い
・点数にこだわり学習量の個人差が大きい
・聞く態度が身についていない
・知能教科を重視する傾向がある
・忘れ物をする児童が割に多い


  教 育 計 画

本年度教育の重点

 教育の努力目標
  ○紙くずのない、よく整頓された、美しい学校
  ○礼儀正しく、互いに助け合う、楽しい学校
  ○健康で、根気強くがんばる、生き生きした学校
 この三点を本校教育の三つの柱とし、本校に学ぶ児童の理想の姿をここに見出し、全職員が一致協力して、この理想像の達成に努力する。

 学校経営の重点
一、教職員としての使命観の確立と研修活動の推進
 ア、全職員が教育目標の達成をめざし、一致協力し児童教育に当る。
 イ、学校研究主題に対し計画的で積極的に取り組み、功を急がず着実な実績を残しつつ研究実践に当る。
 ウ、特別活動の組織運営、指導の効率化を図る。
 エ、同和教育についてはその狙いが、教育全領域の中に生かされていくよう研究を進める。
 オ、視聴覚教育施設の活用につとめ、教育機器利用による学習指導法の研究を深める。

二、教育課程の適正な実施
 ア、調和のとれた、教科、道徳、特活の三領域の指導計画を密にし教育課程の適正な実施に当る。
 イ、特殊学級のおかれた精神を再認識し適正なカリキュラムのもと、全職員の協力のもとで充実した指導を行う。
 ウ、学校教育全体の中で児童の体位体力の向上をはかると共に、特に体育時に意を用い、更に集団生活の規律を体得させるよう努力する。
 エ、教材研究を深め内容を精選し、学力の向上につとめる。

三、教育環境の整備
 ア、科学教育の推進と相まち、校地内の理科的環境整備に努める。
 イ、体育固定施設の整備点検等安全教育に留意する。
 ウ、掲示教育を重んじ、児童の創造性をも生かし、校内の環境美化に努力する。
 エ、特別教室の整備につとめ、常に整頓された使い易い教室作りに努める。
 オ、健康教育を重視し、保健面、給食教育にも力をいたし、衛生的環境作りに努める。

四、学校運営の能率化
 ア、分掌事務を明確にし、積極的に職務遂行に当る。
 イ、学校行事の精選をし、事務処理の能率化をはかる。
 ウ、教育予算の適正な執行に当る。
 エ、勤務体制の確立と職場の規律保持につとめる。

 教育内容の努力点
 一、自主性を伸ばす特別教育活動の推進
 二、教育機器の利用による学習指導の研究
 三、健康教育の推進

校時表(年間を通して)
始    業  
朝 の 行 事
朝 の 話 合
第一校時  
 二     
  三     
  四      
給    食 
昼    休 
掃    除 
 五     
 六      
掃 除・反 省
児 童 下 校
職 員 下 校 
8:15 職員児童登校
8:20〜8:40
8:40〜8:45
8:45〜9:30
9:40〜10:25
10:35〜11:20
11:30〜12:15
12:15〜12:50
12:50〜 1:35
1:35〜 1:55
2:00〜 2:45
2:55〜 3:40
3:40〜 3:50
4:30(土曜12:00)
5:00(土曜12:15)
(特 別 校 時)
 第一校時  
   二   
 三   
   四   
   五   
 給     食 
 反 省・掃 除 
 休     憩  
 研究会・会 議 
 ◎土曜日は第四校時終了後
反省会下校
木曜・土曜のみ
8:20〜 9:00
9:10〜 9:50
10:00〜10:40
10:50〜11:30
11:35〜12:15
12:15〜12:50
12:50〜 1:20
1:20〜 2:05
2:10〜 4:40
火曜午後の校時
 第 五 校 時 
 掃 除・反省会 
 第 六 校 時 
 児 童 下 校 
2:00〜 2:45
2:45〜 2:55
3:00〜 3:45(特別活動)
四年以下 2:55  五・六年  4:30