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第四 松原小学校の創立 明治の新政府は、明治五年(一八七三)「邑に不学の戸なく、家に不学の人なし。」 との方針にたって学制を公布し、全国に学枚を設置し、近代的な学校教育を普及させる事業に着手した。 明治六年、政府は行政区を定め、唐津を第二十九大区、二小区松浦郡として、行政、教育の基礎とし、人口及び戸数の調査をしている。それによると、学区は五大学区、四小学区として(明治十年九月二十五日に再び改正され、第三十六大区第六中学区第四小学区となり、第四部として学区取締詰所は唐津にあった。)
となっている。これにより新しい教育の学校を設立する根拠としたのである。 明治八年五月、鈴木民輔、佐藤源助、村松克造、瀬倉良右衛門の四氏の学務世話人が非常に尽力されて、旧藩士から寄附金を集めて、城内の松原小路の志道義舎の跡に松原小学校が初めて設立された。同年六月十二日付の佐賀県学務懸の指令渡簿に「五大区四小区唐津小学新設二付士族協議、家禄ノ中ヨリ寄附金出候」とあるので、松原小学校の設立の経費は旧藩士の寄附金に頼り、その結果旧藩士の子弟の為の学校であった。そして上等小学校、下等小学校の二校を併置して教授を初めた。教師は同年五月二十七日に教員首座として村瀬轟が大石小学校より月給四円五十銭で転任して来た外、稲垣重道、来村良春等が就任している。その後、男子・女子を分離して、校内に女児学校を設置し、同年九月二日に仮開校したが、その日から登校の女児の数は百九十余人を数え、教場に溢れて着席の場所もなく、次々に願出される入校の希望者は教場の新設まで待たされる状態となった。それで戸長の永渕主一と副戸長の太田橘衛は九月四日に旧郭内西門小路の旧武具蔵(旧五間馬場の多賀高寿屋敷裏)を女児学校に御下渡しされる様に佐賀県参事野維章に願出ている。然し、急増する生徒の数に校舎の増築にては間に合わないと見て、同年十一月二十七日に戸長永渕主一と区長坂本経懿は佐賀県令北島秀朝に「旧城官宅御下渡願」を出している。それによると、唐津小路市中之生徒に対して大石校・松原校・橘葉館(余課序)の三ケ所に男女の学校を建設しているが、生徒数が千百七十余人も登校して何れも狭溢となり、入校希望の生徒を待たせている状態であるが、当今就学を勧奨している時にこれでは甚だ遺憾の至である。然し、校舎の新築は小禄の士族や不景気に苦しむ市中民の金力では力及ばず、二千の学令生徒の授業の場所もないので、旧城の官宅を全部小路(松原小学校)市中(大石、橘葉館両小学校)学校へ御下渡下さる様に願出ている。 これに対して県参事は、旧蕃庁建坪百九十六坪六分五厘并に旧内家(藩主私邸)建坪二百九十四坪二分五厘の内講習所支校(唐津伝習所)用を引き分け、残りの分を小学校として賃渡すので修繕など加えて使用することを許可している。 かくて明治九年四月、男児を分離して、旧藩庁に移し、舞鶴小学校と称して開校した。それで松原小学校は女児専入小学校となり松原女児小学校と称し、女児生徒九十五人が在学していたが次第に増加し総数二百二十四人を数え、教場は七室・教員は男六名となり准助訓村瀬轟が教員首座として就任した。明治十一年三月に学校内に裁縫所の設置が許可されたが、同十一年の学校監視の際までは日浅くして設備も方法も完備しない状況であった。
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